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伊藤 洋輝
バイエルン・ミュンヘン · DF

三笘がいなくなったピッチで、伊藤洋輝が背負うもの

2026年5月22日 リリース·独自記事

負傷というのは、残酷なほどシンプルに夢を断ち切る。

ウルバーハンプトン戦で三笘薫が太ももを痛めた瞬間、おそらく本人はすぐに悟ったはずだ。大会まで間に合わない、と。ピッチに倒れた選手の表情を遠くから見ていても、あの種の痛みと落胆は伝わってくる。プレーしたことのある者なら、なおさら。

fussballdaten.deが伝えるところによれば、日本サッカー協会が発表した2026年W杯最終メンバーに三笘の名前はなかった。森保監督は、医療スタッフの判断を受けて落選を決断した。

選ばれなかった男の話ではない。 今回書きたいのは、選ばれた男の話だ。

伊藤洋輝が、またW杯のピッチに立つ。

27歳。ジュビロ磐田からシュトゥットガルトへ渡り、そこからバイエルン・ミュンヘンへ。日本人DFがたどれるキャリアとしては、ほとんど前例のない軌跡を描いてきた男が、今夏は北米の地でボールを追う。今回が2度目のW杯だ。

センターバックもできる。左サイドバックもできる。守備的MFもこなせる。記事はそのユーティリティ性を評価の根拠として記しているが、私はそこに少し引っかかりを覚える。

「何でもできる」という評価は、諸刃の剣だ。

どのポジションでも及第点を出せる選手は重宝される。ベンチワークとして頭数に入れやすいし、試合の流れによって駒として動かしやすい。でも裏を返せば、「ここに伊藤しかいない」という絶対的な場所を持ちにくい。90分間、自分の仕事を全うしたあとで「お前がいなければ勝てなかった」と言われる機会が、そのぶん減る。

それは選手として、切ない立ち位置でもある。

ただ、バイエルンというクラブを選んだこと自体が、伊藤の意思表示だったと私は思っている。

シュトゥットガルトで地位を築き、評価を受けた選手が次に選ぶクラブとして、バイエルンはあまりにも重い。ブンデスリーガの頂点に君臨するクラブで、出場機会が保証されているわけではない。それでも彼はそこを選んだ。

ユーティリティとして生きることと、高い水準の競争に身を置き続けることは、矛盾しない。むしろバイエルンという環境が、彼の多様性をさらに研ぎ澄ましているとも言える。毎週、世界トップクラスの同僚・対戦相手と渡り合うなかで培われた経験値は、代表の最終ラインに確実に宿っている。

日本のグループFの相手はオランダ、チュニジア、スウェーデン。なかでもオランダ戦(6月14日、ダラス)は、代表の守備陣に突きつけられる最初の試験になる。フィジカルとスピードを兼ね備えたオランダのアタッカーたちを前に、伊藤がどこでどう立って、何を防ぐか。それは机上の戦術論では語れない、ピッチ上の肌感覚の勝負になる。

三笘の不在は、チームにとって大きな痛手であることは間違いない。

でも同時に、誰かの出番が増えるということでもある。

ブンデスリーガからは今回、伊藤を含む6名が選ばれた。堂安律、佐野海舟、鈴木唯人、菅原由勢、塩谷司——それぞれのクラブで積んできた時間が、グループステージの90分ずつに凝縮されていく。

スターが欠けたとき、別の誰かの物語が動き出す。

サッカーというのは、いつもそうやってできている。

伊藤洋輝が2度目のW杯で何を見せるか。 私はそこをじっくり見届けたいと思っている。

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