欧州で日本人選手が増えた、と言われて久しい。 では、どれくらい増えたのか。 他の国と比べて、多いのか、少ないのか。
数えてみた。
対象は、UEFAの協会係数で上位8つに入る協会の、それぞれの1部リーグ。2部以下は含まない。 イングランドのプレミアリーグ、イタリアのセリエA、ドイツのブンデスリーガ、スペインのラ・リーガ、フランスのリーグ・アン、ベルギーのジュピラー・プロ・リーグ、ポルトガルのプリメイラ・リーガ、オランダのエールディヴィジ。 8リーグに登録されている選手は4,007人。うち、開催国と国籍が違う「外国籍」の選手が2,214人。国籍の数は119か国に及ぶ。 その中で、日本人は55人。上田綺世のように移籍前後で2つのリーグに出た選手も、1人として数えている。
9月21日時点で消化節は4〜7節、まだ序盤だ。
まず、欧州の外から来た選手だけを並べる。 外国籍119か国のうち、欧州以外は71か国。その出場時間の順位だ。
| 順位 | 国籍 | 人数 | 出場時間 |
|---|---|---|---|
| 1 | 🇧🇷 ブラジル | 168人 | 36,986分 |
| 2 | 🇦🇷 アルゼンチン | 80人 | 17,094分 |
| 3 | 🇯🇵 日本 | 55人 | 14,714分 |
| 4 | 🇲🇦 モロッコ | 53人 | 10,859分 |
| 5 | 🇸🇳 セネガル | 50人 | 10,364分 |
| 6 | 🇳🇬 ナイジェリア | 42人 | 9,019分 |
| 7 | 🇨🇮 コートジボワール | 47人 | 8,670分 |
| 8 | 🇺🇸 アメリカ | 36人 | 7,529分 |
ブラジル、アルゼンチン、日本。 3番目に、日本がいる。
168人が8リーグ全部に散らばり、出場時間は日本の2.5倍。 アルゼンチンも80人。日本より25人多い。 それでも、その次が日本だ。4位のモロッコに約3,900分、5位のセネガルに約4,300分の差をつけている。 アフリカと北中米のどの国よりも上だ。
欧州の国も含めた全体では、どうか。
| 順位 | 国籍 | 人数 | 出場時間 |
|---|---|---|---|
| 1 | 🇫🇷 フランス | 204人 | 46,703分 |
| 2 | 🇧🇷 ブラジル | 168人 | 36,986分 |
| 3 | 🇪🇸 スペイン | 117人 | 26,976分 |
| 4 | 🇳🇱 オランダ | 91人 | 22,070分 |
| 5 | 🇧🇪 ベルギー | 89人 | 21,396分 |
| 6 | 🇩🇰 デンマーク | 69人 | 18,327分 |
| 7 | 🇦🇷 アルゼンチン | 80人 | 17,094分 |
| 8 | 🇩🇪 ドイツ | 69人 | 16,037分 |
| 9 | 🇵🇹 ポルトガル | 63人 | 14,889分 |
| 10 | 🇯🇵 日本 | 55人 | 14,714分 |
| 11 | 🏴 イングランド | 60人 | 12,043分 |
119か国中10位。 9位ポルトガルとの差は175分。試合にして2試合分だ。 11位はイングランド。「海外にいるイングランド人」より、日本人のほうが多くピッチに立っている。
欧州の外から来て日本より上にいるのは、ブラジルとアルゼンチンだけ。
「増えた」は本当だった。
ただし、8リーグに均等にいるわけじゃない。 リーグごとに、日本の「位置」はまるで違う。
| リーグ | 外国籍の中で日本は | 出場時間シェア | 在籍 | 出場 |
|---|---|---|---|---|
| 🇧🇪 ベルギー | 2位 | 5.7% | 20人 | 19人 |
| 🇩🇪 ブンデスリーガ | 4位 | 3.2% | 12人 | 10人 |
| 🇳🇱 エールディヴィジ | 9位 | 1.5% | 6人 | 6人 |
| 🏴 プレミアリーグ | 15位 | 1.7% | 8人 | 7人 |
| 🇫🇷 リーグ・アン | 18位 | 1.1% | 6人 | 5人 |
| 🇵🇹 プリメイラ・リーガ | 31位 | 0.5% | 1人 | 1人 |
| 🇪🇸 ラ・リーガ | 36位 | 0.4% | 2人 | 2人 |
| 🇮🇹 セリエA | 53位 | 0.1% | 1人 | 1人 |
リーグごとの内訳(外国籍の上位10か国と日本の順位)は、football-wireのリーグ情報に「リーグ内の外国籍比較」として毎朝更新でまとめている。
ベルギーは、もはや「日本人が多い」という話ではない。 外国籍の1位はフランスで11.4%。2位が日本で5.7%。3位のオランダは3.8%。隣国オランダより、日本のほうが上にいる。 20人が在籍し、19人が出場した。 シントトロイデンだけで8人。ウェステルローに3人。アントワープとヘンクに2人ずつ。
フランス、オーストリア、オランダに次ぐ4位。12人が登録され、10人が出場。韓国の5人768分に対して、日本は12人2,180分。
セリエAの日本人は菅原由勢ただ1人で、出場は53分。64か国の中で53位。 ラ・リーガは久保建英と佐藤龍之介の2人で、36位。
イタリアは、外国籍が最も入りやすいリーグでもある。開催国イタリア籍の出場時間は27.8%しかない。プレミアの28.1%、ポルトガルの28.7%と並んで、8リーグで最も「門戸が広い」3つだ。 けれど、その門を通っているのはフランス、スペイン、アルゼンチン、ブラジル。 門戸の広さと、日本人の多さは一致しない。
もうひとつ、知りたかったことがある。
「多いけど、使われていないのではないか」
ただし、リーグやチームによって消化した試合数が違う。出場時間の合計を並べても、比べたことにはならない。 そこで「出場時間率」で見る。所属チームがリーグ戦で戦った時間のうち、その選手がピッチにいた割合だ。5試合消化のチームなら450分が分母になる。
8リーグの日本人55人の出場時間率は50.1%。 日本以外の外国籍2,159人は40.7%だった。 出場した試合のうち先発だった割合は、日本が72%。外国籍全体は70%。 数が多いだけの国ではなかった。平均より、はっきり使われている。
しかも50.1%は、出場時間の上位12か国の中で最も高い。 デンマークが49.0%、オランダが47.8%、ポルトガルが46.0%。フランスは42.5%、ブラジルは38.8%だ。 「連れてきた選手をどれだけ使っているか」では、日本が一番上だ。
リーグ別に見る。
| リーグ | 日本人の出場時間率 | 日本以外の外国籍 |
|---|---|---|
| 🇧🇪 ベルギー | 55.6% | 42.5% |
| 🇩🇪 ブンデスリーガ | 50.5% | 45.4% |
| 🏴 プレミアリーグ | 44.1% | 42.7% |
| 🇪🇸 ラ・リーガ | 41.3% | 41.1% |
| 🇳🇱 エールディヴィジ | 46.6% | 37.5% |
| 🇫🇷 リーグ・アン | 36.5% | 46.3% |
| 🇵🇹 プリメイラ・リーガ | 98.3%(1人) | 36.1% |
| 🇮🇹 セリエA | 11.8%(1人) | 39.6% |
| 合計(8リーグ) | 50.1% | 40.7% |
ベルギーとドイツは、外国籍平均を5〜13ポイント上回る。 野澤大志ブランドン、木村誠二、小久保玲央ブライアンは7試合630分、すべてピッチにいた。ドイツでは小杉啓太が4試合360分、佐野海舟と板倉滉も2分か6分を欠いただけだ。 ポルトガルの福井太智は、7試合すべてに先発して619分。1人だけの数字だが、98.3%は8リーグの日本人55人の中で8番目に高い。
逆に、フランスは苦しい。 日本人6人の出場時間率は36.5%で、外国籍平均の46.3%を10ポイント下回る。先発率も56%と、外国籍全体の73%に届かない。 瀬古歩夢が450分すべてに出ている一方で、南野拓実は0分。同じル・アーヴルの中村草太は、5試合のうち先発は1試合だけだ。
プレミアは、どちらでもない。 44.1%に対して42.7%。先発率は75%と71%。 「そこにいる」ことがまず難しいリーグで、平均並み。
日本人は、8リーグすべてでアジア最大の勢力だった。
ブンデスリーガの韓国は5人。ベルギーは2人。 プレミアにはウズベキスタン1人、オーストラリア1人。 オランダには、韓国人選手が1人もいない。
アジアから欧州へ最も多くの選手を送り込んでいる国は、日本だ。 その日本が、外国籍全体では10位。出場時間はブラジルの4割、フランスの3分の1に届かない。
上には、まだ9か国いる。欧州の外からは、ブラジルとアルゼンチンの2か国。 この地図は、毎朝更新される。 来年の今ごろ、日本の位置がどこにあるか。 それを見るために、数え続ける。
