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🏴󠁧󠁢󠁥󠁮󠁧󠁿
松木 玖生
サウサンプトン · MF

「止まって受けるな」から2年——松木玖生、熱さの出し方を変えた23歳

2026年10月31日 リリース·独自記事

9月24日、ウルグアイ戦の前半11分。
中村敬斗が左から大きくサイドを変えた。
右で受けた松木玖生は、ひと呼吸も置かずに加速した。
中へ切れ込み、左足で振り抜いた。A代表のデビュー戦で、最初のシュートだった。

試合後、松木はこう話している。
「サウサンプトンで毎日練習してることが試合で結びついて良かった」

勢いで決めたゴールではなかった。毎日やっている形を、そのまま出したゴールだった。
筆者は、この一言に2年分の変化が詰まっていると感じた。

FC東京時代の松木は、闘争心が前に出る選手だった。
相手にぶつかり、ボールを奪いに行き、それがそのまま魅力にもなっていた。
ただ筆者には、それが前に出すぎているようにも見えた。

数字にも少し表れている。
J1の2シーズン目までで、警告は合わせて10枚、退場は2回あった。1回目は2022年4月の横浜F・マリノス戦で、2枚目の警告によるもの。2回目は2023年6月の同じカードで、競り合いで右ひじが相手の顔に当たり、VARを経て一発退場になった。

2024年の夏、サウサンプトンへの移籍が決まった。
1年目は、同じグループのクラブであるトルコのギョズテペに貸し出された。
この時期の松木は、全力なのは伝わってくるのに、余裕がないように筆者には見えた。急いで、正しくない選択をしている場面が目についた。

警告の数字は、ここでいちばん悪くなっている。
リーグ戦1024分で警告5枚。205分に1枚の計算になる。

そのギョズテペで、松木は監督にこう言われたという。
止まってボールを受けると、ディフェンダーに潰される。
今年2月のPIVOTのインタビューで本人が明かした話だ。そこから、受ける前の駆け引きや、背後へ抜け出す動きを意識して学ぶようになったと話している。
激しい当たりが続くチャンピオンシップでは、タックルされる前にボールを離すことも意識しているという。

サウサンプトンに戻った最初のシーズンは、いきなり出番を失った。
8月の終わりから12月の終わりまで、リーグ戦で1分も出られない時期が4カ月近く続いた。メンバーから外れた試合も多かった。
それでも、紅白戦では毎日100%でやり続けたと本人は話している。年末のバーミンガム戦で途中から13分だけ出ると、次の試合から先発に入った。

エッケルト監督は2月、2ゴールを挙げたQPR戦のあと、試合に出られない時期にも謙虚でいられることを松木の長所に挙げた。地元紙の報道では、出場しない時でも基準を下げないこと、プレッシャーの中でもボールを失わないことも評価している。

サウサンプトンに来てからの数字は、トルコ時代とはっきり違う。
リーグ戦の警告は、2シーズンで計1914分のうち2枚。957分に1枚で、ギョズテペ時代のおよそ5分の1になった。
パス成功率は、先発に定着した今年の前半が78.0%、今季が83.0%。

ただ、反則の数そのものは大きく減っていない。90分あたり、ギョズテペ時代の1.76回に対して今季は1.36回。
カップ戦では今も警告をもらっていて、FAカップでは193分で2枚だった。
ぶつかりに行く姿勢は、変わっていない。カードになる当たり方が減った、と見るほうが正確だろう。

熱さそのものも残っている。
ベンチ外だった時期について、松木は、練習では自分が活躍していて、監督に見る目がないと思うほど自信があったと振り返っている。
熱さが消えたのではない。出し方が変わったのだと、筆者は見ている。

今季の松木は、右ウイングで12試合に出て3得点を挙げている。
本人は、中央でプレーしたい気持ちと、監督に求められる「幅を取る役割」の間で葛藤があったと話していた。目標に挙げたのは、同じ左利きで右から切れ込む堂安律だった。

ウルグアイ戦のゴールは、その役割の形そのものだった。
右で幅を取り、1対1をつくり、カットインして左足で打つ。

代表から戻ってからも、松木は点を取っている。
10月14日のノリッジ戦では、後半9分に決勝点を挙げた。味方のシュートをGKがはじいたところに、誰よりも早く詰めた。
10月24日、それまでリーグ9試合負けなしだったウェストハムとのアウェー戦では、開始2分に先制点。これも、味方のシュートのこぼれ球を左足で隅に流し込んだものだった。

代表から戻った後のリーグ戦4試合で2得点。代表活動に入る前の今季8試合では、1得点だった。
シュートも増えている。90分あたりで、代表前の1.1本に対し、戻ってからは2.6本。
チームもこの4試合を3勝1分で終えた。

代表の4試合を終えたあと、松木は、レベルの高い選手たちと一緒にやっても自分が劣っているとは思わなかったと話している。もっと自信を持ってプレーすれば、得点やアシストはもっと取れる。そう学んだという。
招集のとき、森保一監督は松木を、2列目から飛び出してゴール前で最後に点を取る仕事ができる選手だと評していた。
戻ってからの2点は、どちらもその形だった。

課題もある。
今季はシュート14本で3得点と、シュート数に比べて得点が多い。この割合が続くとは限らない。代表後の4試合も、わずか241分の話だ。先発と途中出場を交互にする起用も、まだ続いている。

それでも、2年前の松木なら、あの場面で同じ選択をしただろうか。
急がずに、毎日の練習で身につけた形を選んだこと。そこに、この2年で一番大きな変化があると筆者は思う。

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出典・引用について

出典・参考文献

直接引用部分 ・「サウサンプトンで毎日練習してることが試合で結びついて良かった」— 松木玖生、フットボールチャンネル「「毎日練習してることが…」サッカー日本代表MF松木玖生、ゴールシーンは努力の賜物!」(編集部、2026年9月25日 https://www.footballchannel.jp/2026/09/25/post1019085/)。発言全体は「サイドチェンジがあって、どこかで自分で仕掛けたいなと思い、カットインした時にシュートのイメージあったので、サウサンプトンで毎日練習してることが試合で結びついて良かったなと思います」 間接引用部分 ・ギョズテペの監督に「止まってボールを受けるとディフェンダーに潰される」と言われ、オフ・ザ・ボールの動きを学んだこと、タックルされる前にボールを離す意識、ベンチ外の時期も紅白戦で100%を続けたこと、「見る目がない」と思うほどの自信、右ウイングで幅を取る役割への葛藤と堂安律をロールモデルに挙げたことは、PIVOT「松木玖生インタビュー:サウサンプトンで覚醒した理由」(聞き手・木崎伸也ほか、2026年2月21日 https://pivotmedia.co.jp/movie/14033/article)の要約 ・エッケルト監督が、出場が少ない時期にも謙虚でいられることを評価した点は、サウサンプトン公式「Eckert praises club-wide effort in QPR thrashing」(2026年2月24日 https://www.southamptonfc.com/en/news/article/eckert-praises-club-wide-effort-in-qpr-thrashing)の要約 ・出場しない時でも基準を下げない、プレッシャー下でもボールを失わないという評価は、Daily Echoの報道を訳したフットボールトライブ(2026年2月26日 https://football-tribe.com/japan/2026/02/26/348913/)の要約(英語原文は未確認) ・代表の4試合を終えて、レベルの高い選手たちに劣っているとは思わなかった、もっと自信を持てば得点やアシストを取れると学んだと話した点は、SOCCER DIGEST Web「ウルグアイ戦で衝撃ゴールも先発は1回だけ…松木玖生が4連戦後に語った思いとは?」(2026年10月6日 https://news.yahoo.co.jp/articles/e3a78390f7eef3e7d0a4975a1a278cb3e71bf038)の要約 ・森保監督が招集時に、2列目から飛び出してゴール前で最後に得点を決める仕事ができる選手と評した点は、サッカーキング(2026年9月17日 https://www.soccer-king.jp/news/japan/national/20260917/2205928.html)の要約 参考情報の使用 ・ウルグアイ戦の得点経過は、JFA公式マッチレポート(https://www.jfa.jp/samuraiblue/news/00036813/) ・ノリッジ戦(2026年10月14日)の得点経過は、サウサンプトン公式の試合レポート(https://www.southamptonfc.com/en/news/article/report-matsuki-strikes-to-give-saints-first-away-win)。ウェストハム戦(2026年10月24日)の得点経過は、サウサンプトン公式の試合レポート(https://www.southamptonfc.com/en/news/article/saints-hold-firm-against-hammers-in-statement-win)。ウェストハムがリーグ9試合負けなしだった点は、フットボールチャンネル(2026年10月25日 https://www.footballchannel.jp/?p=1039746) ・2022年4月の退場(警告2枚)は、デイリースポーツ(2022年4月2日 https://www.daily.co.jp/soccer/2022/04/02/0015187989.shtml)。2023年6月の一発退場の経緯は、Goal日本版の試合記事(https://www.goal.com/jp/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9/tokyo-marinos-j1-md16-20230603/blt68cc1fe1996dbb3f) ・FC東京(J1 2022〜2024)とギョズテペ(スュペル・リグ 2024-25)の出場時間・警告・退場・反則数は、API-Footballのシーズン集計(2026年10月31日取得) ・サウサンプトンでの出場・得点・警告・反則・パス成功率・シュート数、ウルグアイ戦の出場は、API-Football(自社DB、2026年10月31日時点)。「◯分に1枚」「90分あたり」「パス成功率(パス数で加重)」は本サイトの派生値 筆者の解釈・分析 ・FC東京時代は闘争心が「前に出すぎているように見えた」、ギョズテペ時代は「余裕がないように見えた」は筆者の観戦時の印象 ・「カードになる当たり方が減った、と見るほうが正確だろう」(警告の減少と反則数の横ばいを並べた筆者の見立て。ポジションが中盤の守備的な役割から右ウイングへ移った影響も含まれうる) ・「熱さが消えたのではない。出し方が変わった」「2年で一番大きな変化」は筆者の解釈 ・今季のサウサンプトンの数字は12試合・793分の小標本。代表前後の比較(代表前8試合・552分/代表後4試合・241分)はさらに小さく、代表での経験が得点増の原因かどうかは示していない ・「戻ってからの2点は、どちらもその形だった」(森保監督の評価と、こぼれ球に詰めた2得点を並べた筆者の見立て)

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