グループF最終節、6月26日のダラス。スウェーデンにとってそこは「ベースキャンプ地」そのものだ。だが地の利よりも気になるのは、グラハム・ポッター体制下の「選考の乱気流」がチームケミストリーにどう影響するか、という問いだ。バードグジ、ラールソン、クルゼフスキ——落選者の名前が示す「不安要素」を抱えながら、スウェーデンは日本との最終決戦に何を準備しているのか。
# 現地メディアの視点
スウェーデンのサッカーメディアが5月に費やしたエネルギーは、チュニジア戦や日本戦の分析よりも、選考の「内幕」に向けられていた。
SVT SportとFotbollskanaleнに共通する論調は、ポッターの決断への疑問だ。バードグジ、ラールソン、スウェードベリという有力候補の落選が、国内のファンと専門家双方に波紋を広げた。SVT Sportの専門家ヨーナス・エリクソンは「トラストできる質の高い選手がメンバーにいない」とポッターの選考に真正面から異を唱えている。
一方で、ポッターとバードグジをめぐる「内紛説」については温度差がある。Aftonbladetが「祝賀ディナーでの不満」を報じたのに対し、ポッターはFotbollskanaleнのインタビューで全面否定。バードグジ本人もExpressenへの書面コメントで
"私に関して言われたあらゆる噂はナンセンスだ"
と反論した。スクープを追う側と、当事者の否定。どちらが正しいかより重要なのは、このノイズがスウェーデン国内で大会直前まで続いたという事実だ。チームの一体感への懸念は、現地メディアが意識的に問い続けている。
# 日本代表への評価
スウェーデンの現地メディアを読んでいて気づくのは、日本代表に関する直接の言及がほぼ皆無に等しいことだ。グループFの対戦国として名前は並ぶが、分析の対象にはなっていない。これは侮りではなく、スウェーデン国内の関心がそれだけ自国の選考問題に集中していたということでもある。
ただ、この「無関心」は対日戦において両刃の剣になりうる。
自社の既出分析では、ジョコレスとイサクという二枚のカードを擁するスウェーデンは「個の輝き」に傾きやすく、チームとしての機能性との両立が問われると指摘していた。日本代表は組織的なプレッシャーと素早いトランジションを強みとしており、スウェーデンが二トップへのロングボールに頼るシンプルな攻撃パターンに終始すれば、日本の守備ブロックに嵌まりかねない。
また、クルゼフスキについては、膝の怪我から約1年間ピッチを離れていた状態での招集をポッターが判断している。コンディションが整っていれば創造性を加える存在だが、大会途中での負荷管理次第では、グループ最終節の日本戦ではむしろ不確定要素になる可能性もある。スウェーデンが日本を「最終節の相手」として甘く見ていれば、その代償は大きい。
# 試合展望
6月26日のダラスは、スウェーデンにとってベースキャンプ地と同じ都市だ。移動の疲労がない点で、グループリーグ3試合の中で最も「ホームに近い」コンディションで臨める試合になる。だが、日本戦の意味合いはその前の2試合——チュニジアとオランダ——の結果次第で大きく変わる。
オランダとの第2戦を落とした場合、スウェーデンは日本戦を「勝たなければ終わり」の状況で迎える可能性がある。その逆もある。スウェーデン側が余裕を持って最終節に臨めば、ポッターはジョコレスやイサクをターンオーバーする選択肢を持つ。日本側の対策の難しさは、まさにこの「スウェーデンの勝ち点状況読み」にある。
キープレーヤーはジョコレスとイサクの前線に加え、エランガとフォルスベリが機能すれば多彩な攻撃オプションが生まれる。ポッターのポジショナルなアプローチが代表の練習日数の少なさの中でどこまで浸透しているかが、戦術の完成度を左右する。
日本にとっての急所は、セットプレーとクロスだ。リンデレフ、ヒエン、エクダールと空中戦に強いDFラインを持つスウェーデンは、コーナーやFKで高さを使ってくる可能性が高い。逆に日本が先制した場合、スウェーデンがロングボールの比率を上げてくることも想定の範囲内だ。スウェーデンの現地メディアが見落としているのは、その展開での日本の「粘り強さ」かもしれない。
