サッカー欧州組 wire期間限定スペシャルモード
← 記事一覧に戻る
🏴
遠藤 航
リヴァプール · MF

モドリッチになれたかもしれない男が、「スペアパーツ」と呼ばれるまで

2026年6月3日 リリース·独自記事

ボールを奪った瞬間の遠藤航には、独特の推進力があった。

守備の強度だけじゃない。刈り取った後にそのまま前へ、相手の陣形が整う前に加速していく、あの感覚。ピッチの外から見ていても分かる種類の迫力があった。「この選手はひょっとして、モドリッチみたいなところまで行けるんじゃないか」——そう感じた瞬間が、何度かあった。

でも今、Liverpool.comの報道によれば、遠藤は今季わずか12試合の出場にとどまり、「スペアパーツ」という言葉とともに語られている。

その言葉が、少し刺さる。

何が変わったのか、を問うとき、責任の所在を一方に帰するのは簡単すぎる。

リヴァプールという環境は、世界屈指の攻撃タレントが密集する場所だ。サラーがいて、右サイドからゴールへの最短距離が常にそこにある。中盤に求められることは自然と「繋いで消える」「回収して安定させる」方向に絞られていく。遠藤本人も、リヴァプール加入後はシンプルなプレーを心がけていると語ってきた。それは嘘ではないだろう。周りに合わせた適応であり、チームのために役割を削ぎ落とした結果だ。

だが、削ぎ落とした刃は、もう元には戻らない。

プレーの習慣というのは、繰り返しの中で染み込んでいく。「ここで運ばない」「ここで仕掛けない」という選択が積み重なると、その選択肢が引き出しから消えていく。かつてあった推進力は、使わないうちに鈍くなる。それはサボりじゃない。環境が作る変化だ。ただ、変化は変化として残る。

「試合に出られていないのは苦しい。でも最も重要なのは、どんな試合でも準備を整えておくこと」

遠藤のこの言葉は、Star News Korea(英語版)やliverpool.comの報道を通じて伝わってきた。33歳のベテランが、5分でも10分でもピッチに立てば全力を尽くすと言い続けている。それは誠実な言葉だと思う。ただ同時に、その言葉がすでに「5分10分の選手」としての立ち位置を受け入れているように聞こえてしまうのは、穿った見方だろうか。

スロット体制下での出場機会は激減した。クロップが去った後、遠藤を「替えのきかない選手」と見なした指揮官はいなかった。報道が伝える通り、それは遠藤個人の能力の問題というより、戦術的な優先順位の問題でもある。守備強度を基軸に組み立てるチームなら遠藤は輝く。だが攻撃的な中盤に多くの役割を求める体制では、どうしても序列は落ちる。

そこが核心だと思う。

攻撃でも存在感を発揮できる中盤、つまりデュエルで勝ちながら前にも出ていける選手——それを体現し続けていたなら、監督の哲学が変わっても生き残れる。戦術の多様化が進む現代サッカーで、「どの体制でも使われる中盤」になる条件の一つがそこだ。遠藤の現在の特徴は確かに秀でている。ただ、それは特定の監督にとって「最高の補強」である一方、別の監督にとっては「構想外」になりうる。今起きていることは、その両極の振れ幅がそのまま出ているだけだ。

もしも、あの推進力が消えずに残っていたら。

ボールを奪ってからの一歩が、今も脅威であり続けていたなら。

そんな仮定を持ち出すのは、フェアじゃないかもしれない。選手はそれぞれの環境で判断して、チームのために自分を調整していく。それは批判できるものじゃない。ただ、それでも——あの頃の遠藤を知っている人間としては、少し違う未来も見たかった、という気持ちが消えない。

今夏、リヴァプールを去る可能性は高い。ただ、W杯のメンバーには選ばれた。北米の舞台で、日本代表のキャプテンとして立つ。守備の強度という、彼の最も磨かれた武器を携えて。

その場所で、あの推進力がほんの少しでも顔を出すとしたら——それはそれで、見てみたいものだと思っている。

引用元の海外メディア記事

▸ 引用範囲と筆者の解釈の内訳を見る

直接引用

引用文:「試合に出られていないのは苦しい。でも最も重要なのは、どんな試合でも準備を整えておくこと」 出典: Liverpool.com「遠藤航、『苦しい』リヴァプール時代の中で引退への思いを吐露」(2026年5月26日)および Star News Korea 英語版「日本代表キャプテンがリヴァプールの構想外へ」(2026年6月2日)

間接引用

・遠藤の今季出場記録がわずか12試合にとどまったこと(Liverpool.com、Anfield Index より) ・スロット体制下で出場機会が激減し、クロップ退任後は「スペアパーツ」として扱われてきたという評価が広まっていること(Star News Korea より) ・遠藤が引退後の人生(監督業、フットボールのビジネス面)について考え始めていると語ったこと(Liverpool.com より) ・契約残り1年で今夏の退団が噂されており、移籍収入を得るには今夏が最適なタイミングとされること(Star News Korea より) ・W杯26人枠の最終登録メンバーに選ばれ、アイスランド戦で約2か月半ぶりに実戦復帰したこと(Star News Korea より) ・フロントが3選手(遠藤含む)の全員放出に慎重な可能性があり、経験豊富な選手をプレミアに残すことは賢明なビジネスとも分析されていること(Anfield Index より)

参考情報の使用

・遠藤航の年齢(33歳)および現所属クラブ(リヴァプール)は、書き手から提供された事実情報を使用

筆者の解釈・分析

・「モドリッチになれたかもしれない」という感想と、ボールを奪った後の推進力に関する観察——これは書き手の観察メモを踏まえた筆者独自の見解 ・リヴァプールという攻撃タレントが密集する環境が、遠藤の攻撃的な推進力を削いでいったという解釈——原記事・参考情報には存在しない筆者の分析 ・「プレーの習慣は繰り返しの中で染み込む」「削ぎ落とした刃は元には戻らない」という、プレー経験者としての身体感覚に基づく考察——筆者独自の記述 ・「5分10分の選手」という言葉の受け入れについての読み解き——遠藤の発言を筆者が解釈した独自の視点 ・「攻撃でも存在感を発揮できる中盤であれば、監督の哲学が変わっても生き残れる」という論点——戦術的多様性と選手の汎用性に関する筆者独自の分析 ・あの推進力が消えずに残っていたなら、という仮定と「少し違う未来も見たかった」という感傷——筆者の主観的な気持ちの表明 ・W杯での活躍への期待と「推進力がほんの少しでも顔を出すとしたら」という締めの展望——筆者独自の結び

※ 事実関係は引用元の海外メディア記事に基づきます。引用ルールや著作権の取扱いについては 編集ポリシーをご覧ください。

𝕏最新記事は X @tttkhs でも発信中 — フォローする ↗

遠藤 航の他の記事