前号の最後に「決めるのはクラブか、選手か、それとも時計か」と書いた。 今週、市場が答えを出した。値段という形で。
独・仏の登録期限は8月31日。残り9日。 英・西・伊は9月1日。
64億円と6.4億円
同じ週に、二人の日本代表が新しいクラブへ移った。移籍金は、ちょうど10倍違った。
鈴木彩艶。アストン・ヴィラが8月19日に加入を発表した。固定€3,000万に出来高€500万、総額で最大€3,500万——約64億円。2019年の中島翔哉と並ぶ日本人史上最高額タイで、日本人GKとしては初のプレミアリーグ所属になる。背番号は1。契約は2031年まで。
板倉滉。ボルシアMGが8月20日に復帰を発表した。固定€350万、ボーナス込みで最大€400万——約6.4億円。1年前にアヤックスが€1,050万を払って獲得した選手が、今季は一分も公式戦に出ないまま、その3分の1で売られた。
値札を決めるのは、選手の価値だけではない。パルマは売る必要がなかったから高く売れた。アヤックスは人件費の枠を空ける必要があったから安く手放した。同じ夏、同じ日本代表、正反対の立場。
4日で塗り替わった行き先
鈴木の一週間は、この夏で最も速く動いた。
15日、PSG移籍が破談する。メディカル当日で、パルマにはプライベートジェットが着いていた。代理人が最大€500万の手数料を要求し、レキップによればクラブはこれを「脅し」と受け取って撤退した。
16日、アストン・ヴィラがパルマに接触する。条件はPSGと同じ€3,500万。
19日、公式発表。
前号で私は「壊した主体が興味深い。クラブでも、登録期限でもない。選手だった」と書いた。だがその代償は、結局のところ本人に返ってこなかった。同じ金額で、より確実に出場機会のある場所へ移っただけだ。マルティネスの去就が宙に浮いたまま、ヴィラは彼を正GK候補として迎えている。
そして日曜、ヴィラの開幕戦の相手は三笘薫のブライトンだ。もっともその三笘は、負傷明けで出場が難しいと報じられている。
値札が買い手を遠ざけるとき
一方で、値段が扉を閉じた選手もいる。
上田綺世。今夏ずっと唯一の正式オファーだったフェネルバフチェが、消えた。同クラブがルカクら複数のFWを補強し、カルタル監督が4-2-3-1でセンターフォワードを一人しか置かないことで関心が途絶えた、と蘭メディアが伝えている。フェイエの設定額は€3,500万。鈴木とまったく同じ額で、買い手がつかない。残るはリーズなど英勢の関心だけになった。
佐野海舟は、その逆側にいる。マインツは€6,000万規模のオファーと後任の確保という二条件を掲げ、社内の売却期限を8月27日に設定した。ハイデルSDの言葉が全てを言っている。「断りきれないようなオファーが舞い込む可能性はある。しかし、何もなければないで、我々は満足だ」
断る側にいる者たち
旗手怜央はパナシナイコス、MLS、オーストリアからの誘いを断った。目標は5大リーグだという。オニール監督は「問い合わせは来ているが、決定的なものは何もない」と語り、そのうえで「残留を望むなら、私はまったく問題ない」と付け加えた。開幕から3試合、出番はない。
田中碧には、逆向きの選択肢が現れた。英FLWは、彼がチャンピオンシップ——プレミアの一つ下——へ戻ることを検討する可能性を指摘している。昨季の先発は14試合だった。
そして伊藤涼太郎は、これから選ぶ側に回る。STVVとの契約が満了して無所属のまま、今週は代理人を変えた。FC東京をはじめJリーグの複数クラブが関心を寄せているといい、フリーの立場は登録期限にも縛られない。
締切カレンダーを、もう一度。 独・仏 8月31日。英・西・伊 9月1日。蘭 9月2日。ベルギー 9月8日。葡 9月15日。サウジ 10月12日。
残り9日。値札を下ろすのか、下ろさないのか。 全案件の現在地は移籍トラッカーで毎週更新している。
