【追記・訂正 9/5】 本稿の公開後、旗手怜央が締切日の9月1日にバーンリーへ完全移籍していたこと(3年契約・移籍金非公表。発表は窓が閉じた直後だった)が判明し、トラッカーに反映した。本文で「市場の沈黙によって残った」と書いたのは旗手については誤りで、訂正する——彼もまた、願いを叶えた側にいた。あわせて6月に決まっていた後藤啓介(フライブルク)と宇野禅斗(ボルシアMG)をカードに収載し、集計は全47案件・移籍29件・残留13件となった。最新の全案件は移籍トラッカーを参照。
7月7日に佐藤龍之介のバレンシア行きから始まったこの連載も、今号でひと区切りになる。5大リーグの窓は閉じ、45案件の答えが出た。
移籍の成立が27件。契約延長・再契約での残留確定が2件。そして残留が12件。
念願は、時間をかけて叶う
この夏を振り返って一番はっきりしているのは、1年、2年と噂が続き、本人も移籍を望んでいた選手は、ほとんどが望みを叶えたということだ。
板倉滉は、1年前に「不本意な思いで」去った古巣ボルシアMGへ戻った。中村敬斗は、昨夏から望み続けて叶わなかったステップアップを、1年越しにリヨンで実現した。上田綺世は公言し続けた5大リーグへ、締切前日の電撃合意でたどり着いた。鈴木彩艶は、今年に入って早くから獲得候補に名を挙げていたアストン・ヴィラに、PSG破談という遠回りを経て、日本人史上最高額タイで加入した。
冨安健洋は無所属からトライアウトでプレミアに戻り、伊藤敦樹は構想外の立場からイングランド初挑戦をつかんだ。時間をかけて温められた移籍は、市場が閉まる前にどこかで成立する——今年の夏は、その法則がよく効いた。
残留は、敗北ではない
一方で残った12人は、それぞれ残り方が違う。
佐野海舟の残留に、驚きはなかったと思う。25歳。マインツとの契約は2024年から2028年まで、まだ折り返し地点だ。契約解除条項はなく、クラブには売り急ぐ理由が何ひとつない。€6,000万という値札は「売るための値段」ではなく「売らないための値段」であり、ハイデルSDの「何もなければないで、我々は満足だ」がすべてを言っていた。もう1年マインツで積み上げてから動いても、キャリアの計算は十分に合う。
三笘薫はクラブの意思で残った。ブライトンは夏の頭に放出拒否を決め、最後まで貫いた。堂安律は本人の意思で残った——サウジまで飛び、オファーを断って引き返した。田中碧と旗手怜央は、市場の沈黙によって残った。同じ「残留」の欄に並んでいても、中身はまったく違う。
数字で見る夏
移籍27件の内訳は、欧州内の移動が17件、Jリーグから欧州へが7件、欧州からJへの復帰が2件、MLSへが1件。トラッカーに載せた選手のほかにも、宇野禅斗や中村草太、荻原拓也ら夏に海を渡った選手たちがいて、欧州でプレーする日本人の裾野は今季も広がった。
金額の振れ幅も記録的だった。最高は鈴木彩艶の最大€3,500万——2019年の中島翔哉と並ぶ日本人史上最高額タイ。その4日後に決まった板倉滉は最大€400万。同じ週の日本代表で、値札はちょうど10倍違った。
そして第3号で予告した「確度ラベルの答え合わせ」。当トラッカーが「合意間近」を付けた案件は、途中で一度壊れたものを含めて、最終的にすべて成立した。壊れたのは鈴木のPSG行きただ一件で、それも4日後に同じ金額でヴィラに置き換わった。合意まで進んだ話は、形を変えても着地する。逆に「噂」止まりの案件の多くは、噂のまま窓が閉じた。
窓はもう閉まっている。ただし全部ではない。ベルギーは9月8日、ポルトガルは9月15日、そしてサウジは10月12日まで開いていて、遠藤航と渡辺剛の欄にはまだ「未定」が残る。無所属の伊藤涼太郎に、締切はない。
動きがあればトラッカーは更新を続ける。次に時計が動き出すのは、1月。 夏の全記録は移籍トラッカーに残しておく。答え合わせは、いつでもできる。
